The Raconteurs

他の誰のモノでもない音楽


 あれはそろそろ10年前、ちょうど私がピチピチの大学生だった頃、ある一枚のアルバムに思いを馳せていた……ブレンダン・ベンソンのアルバム『ワン・ミシシッピ』だ。あれから待てど暮らせどその姿を観る機会を与えられることはなく、唐突にこの日が来た。しかもジャック・ホワイトという同郷であるという繋がりを知らなければ、その組み合わせの違和感はずっと残っていたかもしれない。ライヴ開演前のグリーンステージではああぁ……と納得できるぎゅいんぎゅいんうなるギターの音が響くだけで、何だか期待してもいいのかもしれないというわくわく感が襲ってきた。


 グリーンステージも狭く感じるくらいの存在感は音だけではない。ブレンダン・ベンソンとジャック・ホワイトが並んで時として1本のマイクを共有して目の前で歌ってる姿はとても感慨深く、一挙手一投足を見入ってしまう。ホワイト・ストライプス、ブレンダン・ベンソンというそれぞれの音楽を持つもの同士はぶつかり合うことなく、まぎれもないラカンターズの音楽だった。


 ただフェス仕様のセットであることやThe Raconteursとしてのアルバムがまだ一枚で、たった40分であったことなどをどれだけ考慮してみても、やっぱり短かった。あのホワイト・ストライプスのライヴのような次の曲へ移ったのかと思ったら、実はまだ続いていたのかよ! という変幻自在のジャムやこの人達ならではのカバーが聴けたりするのだろうかという勝手な期待があったのだけれど、残念ながらそれはなかった。ただ、その残念な気持ちはネガティヴなものではない。もう一度The Raconteursを観たい……純粋にそう思わせてくれる最終日の夕方の一時だった。





Reported by kuniko (2006.08.10 / 22:37)