GOGOL BORDELLO

ジプシー・パンクス、本領発揮

 出演発表で「こいつらはヤバいらしい」だったのが、夕暮れのホワイトで「本当にヤバかった!」にとってかわられ、深夜クリスタル・パレスの混雑は誰の目にも明らかだった。彼らはもちろんフェスティヴァル・バンドの筆頭ではあるけれども、空が開けた中で発散するヤツらというよりは、閉鎖された空間で熱を対流させるバンドだ。ホワイトのパフォーマンスは、あれでも80%といったところか。

 早々に場所取りが始まり、最前列に行くことなど到底不可能だ。それだけならまだしも、入りきれないオーディエンスが外で行列をつくる状況に、音源の入手にひと苦労していた頃を忘れそうになる。時間いっぱい、ただれた絶叫とともに世界各地の文化を匂わす鼻つまみ者が出てくると、目を爛々と輝かせたオーディエンスが殺到していく。 

 移民の反抗を歌った"イミグラント・パンク"で出自を宣言し、あとは新旧織り交ぜたセットで、文字通り怒濤のライヴを繰り広げる。踊り子2人の絶叫やセルゲイの奮闘、そしてユージンの戦う姿勢、そしてそして…全て書いていくとスペースがいくらあっても足りない。すぐに弦がざっくばらんになってしまうフィドルや、軽やかに踊るアコーディオンの調子だけで彼らの世界が生まれている訳ではない。移民ならではの、コミュニティに溶け込もうとする思いの強さが、雑多で強烈な異臭を放たせている。

 せせこましい中でのモッシュにダイヴの乱発、100キロを超える巨漢が流れてきたり、ステージの上にもオーディエンスが溢れたりと、アーティスト、オーディエンス共にリミッターを突破してしまったパレスでのライヴは、間違いなく2008年の伝説となったはずだ。

Photos by Miyuki Samata


Reported by taiki (2008.07.27 / 17:45)

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